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成果評価ワークシート

このワークシートは、生成AIを業務に導入した効果を体系的に測定・評価するためのものです。定量的・定性的な効果測定により、投資対効果(ROI)を明確にし、さらなる改善につなげることができます。

成果評価ワークシートの使い方

【手順1】基本情報の記入

評価対象の業務、評価期間、評価者、作成日を記入します。

■ 基本情報
対象業務:
評価期間:   年 月 日 ~    年 月 日
評価者:
作成日:

【手順2】導入前のベースライン測定

AIを導入する前の状態(ベースライン)を測定・記録します。定量的な業務指標(処理時間、エラー率、処理量、コストなど)と定性的な評価(担当者の満足度、主な課題など)を記録します。

後の比較のためにも、できるだけ正確かつ詳細にベースラインを記録することが重要です。

■ 導入前のベースライン測定
1. 業務指標

| 指標 | 測定方法 | ベースライン値 |
|------|---------|--------------|
| | | |
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| | | |
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2. 定性的評価
- 業務担当者の満足度: /5
- 主な課題・ストレスポイント:

【手順3】導入後の測定結果の記録

AI導入後の同じ指標を測定し、導入前と比較します。変化量と変化率(%)を計算することで、改善度合いが明確になります。

定性的な評価も同様に記録し、導入前後の変化を把握します。

■ 導入後の測定結果
1. 業務指標

| 指標 | 導入前 | 導入後 | 変化量 | 変化率(%) |
|------|-------|-------|--------|-----------|
| | | | | |
| | | | | |
| | | | | |
| | | | | |

2. 定性的評価
- 業務担当者の満足度: /5(導入前比: ポイント)
- 主な改善点:

- 新たな課題:

【手順4】投資対効果(ROI)分析

AI導入のためのコスト(初期投資、運用コスト、訓練工数など)と得られた効果(時間削減効果、品質向上効果など)を金額換算して比較します。

月間純効果(効果 - 運用コスト)、投資回収期間、年間ROIなどを計算することで、投資対効果を明確にします。

■ 投資対効果(ROI)分析
1. コスト
- 初期投資:   円(内訳:   )
- 運用コスト(月額):   円(内訳:   )
- 訓練・導入工数:   時間(   円相当)

2. 効果
- 時間削減効果(金額換算):   円/月
- 品質向上効果(金額換算):   円/月
- その他効果(金額換算):   円/月

3. ROI計算
- 月間純効果(効果 - 運用コスト):   円/月
- 投資回収期間:   ヶ月
- 年間ROI:   %(計算式:(月間純効果×12-初期投資)÷初期投資×100)

【手順5】予期せぬ効果・発見の記録

当初予想していなかった効果(正の効果と課題・問題点)や、導入を通じて得られた気づきや学習点を記録します。これらは今後の改善や他の業務へのAI導入の際に役立ちます。

■ 予期せぬ効果・発見
1. 正の効果:
-
-
-

2. 課題・問題点:
-
-
-

3. 気づき・学習点:
-
-
-

【手順6】ユーザーフィードバックの収集・整理

実際にAIを使用しているユーザーからのフィードバックを収集し、整理します。アンケートやインタビュー結果のサマリー、主要な肯定的フィードバックと改善要望を記録します。

■ ユーザーフィードバック
1. アンケート結果サマリー:
- 満足度:「非常に満足」  %、「満足」  %、「普通」  %、「不満」  %、「非常に不満」  %
- 使いやすさ:「非常に簡単」  %、「簡単」  %、「普通」  %、「難しい」  %、「非常に難しい」  %
- 継続利用意向:「ぜひ継続したい」  %、「継続してもよい」  %、「どちらでもない」  %、「やめたい」  %

2. 主要ポジティブフィードバック:
-
-
-

3. 主要改善要望:
-
-
-

【手順7】次のステップの計画

評価結果に基づいて、今後の改善計画や展開計画を立てます。継続的改善、他業務・部門への横展開、より高度な活用への移行などを検討します。

■ 次のステップ
1. 継続的改善計画:
-
-
-

2. 横展開の可能性(他業務・部門):
-
-
-

3. 高度化の方向性:
-
-
-

【手順8】結論・総括評価のまとめ

成功度の総合評価と、全体を通した総括コメントを記入します。「何がうまくいき、何が課題だったか」「次に生かせる教訓は何か」などを簡潔にまとめます。

■ 結論・総括評価
成功度:□ 非常に成功 □ 成功 □ 部分的に成功 □ 改善が必要 □ 不成功

総括コメント:


成果評価ワークシートの記入例

以下は、提案書作成業務へのAI導入効果を評価した例です:

【AI活用成果評価ワークシート】

■ 基本情報
対象業務:顧客向け提案書作成
評価期間:2023年7月15日 ~ 2023年8月15日
評価者:営業企画課 佐藤次郎
作成日:2023年8月20日

■ 導入前のベースライン測定
1. 業務指標

| 指標 | 測定方法 | ベースライン値 |
|------|---------|--------------|
| 処理時間 | 作業記録 | 平均3時間/件 |
| エラー率 | 上長修正指摘数 | 平均5.2箇所/件 |
| 処理量 | 月間提案書作成数 | 24件/月 |
| コスト | 人件費換算 | 約72万円/月 |

2. 定性的評価
- 業務担当者の満足度:2.8/5
- 主な課題・ストレスポイント:
作成に時間がかかる、類似案件でも一から作り直す必要がある、
担当者によって品質にばらつきが大きい、残業が多くなる

■ 導入後の測定結果
1. 業務指標

| 指標 | 導入前 | 導入後 | 変化量 | 変化率(%) |
|------|-------|-------|--------|-----------|
| 処理時間 | 3時間/件 | 1.2時間/件 | -1.8時間/件 | -60% |
| エラー率 | 5.2箇所/件 | 2.1箇所/件 | -3.1箇所/件 | -60% |
| 処理量 | 24件/月 | 38件/月 | +14件/月 | +58% |
| コスト | 72万円/月 | 38万円/月 | -34万円/月 | -47% |

2. 定性的評価
- 業務担当者の満足度:4.3/5(導入前比:+1.5ポイント)
- 主な改善点:
提案書作成の負担が大幅に軽減、提案品質の底上げ、残業時間の減少、
提案内容のバリエーションが増加
- 新たな課題:
AIの提案内容を鵜呑みにせず適切に編集する能力の差、特に専門的な
内容での事実確認の重要性

■ 投資対効果(ROI)分析
1. コスト
- 初期投資:20万円(プロンプト開発、研修、マニュアル作成)
- 運用コスト(月額):5万円(サブスクリプション、メンテナンス)
- 訓練・導入工数:40時間(20万円相当)

2. 効果
- 時間削減効果(金額換算):34万円/月
- 品質向上効果(金額換算):12万円/月(修正時間減少、顧客評価向上)
- その他効果(金額換算):8万円/月(提案増加による受注機会創出)

3. ROI計算
- 月間純効果(効果 - 運用コスト):49万円/月
- 投資回収期間:0.8ヶ月
- 年間ROI:約1,470%((49万円×12-40万円)÷40万円×100)

■ 予期せぬ効果・発見
1. 正の効果:
- 若手社員の積極的な提案参加が増加(AIの支援により自信を持って提案作成できるようになった)
- 顧客からの「提案内容が充実した」という評価が増加
- 営業担当者が顧客との対話や関係構築に使える時間が増加

2. 課題・問題点:
- 同じAIプロンプトを使っても担当者によって編集度合いに差があり、最終成果物に差が出る
- 業界特有の最新動向は反映されないため、適宜人間が補完する必要がある

3. 気づき・学習点:
- AIはあくまで支援ツールであり、人間による編集・確認の重要性
- 個々の顧客特性や業界知識をプロンプトに適切に盛り込むことの重要性
- 定期的なプロンプトの更新・改善の必要性

■ ユーザーフィードバック
1. アンケート結果サマリー:
- 満足度:「非常に満足」60%、「満足」30%、「普通」10%、「不満」0%、「非常に不満」0%
- 使いやすさ:「非常に簡単」40%、「簡単」50%、「普通」10%、「難しい」0%、「非常に難しい」0%
- 継続利用意向:「ぜひ継続したい」90%、「継続してもよい」10%、「どちらでもない」0%、「やめたい」0%

2. 主要ポジティブフィードバック:
- 「提案書作成の心理的負担が大きく減った」
- 「複数の解決策アイデアが得られることで、提案の幅が広がった」
- 「顧客との打ち合わせ後、素早く提案書の初稿が作れるようになった」

3. 主要改善要望:
- 「業界や顧客別にカスタマイズしたプロンプトバリエーションが欲しい」
- 「AIの出力結果をさらに効率的に編集する方法を知りたい」
- 「プレゼン資料(PowerPoint)への変換支援も欲しい」

■ 次のステップ
1. 継続的改善計画:
- 業界別・顧客規模別のプロンプトバリエーションの開発
- AIの出力を効率的に編集するためのベストプラクティス共有会の実施
- 月次での効果測定と改善点のフィードバック

2. 横展開の可能性(他業務・部門):
- 営業報告書作成業務への展開(9月予定)
- マーケティング部門の市場調査レポート作成への応用(10月検討)
- カスタマーサポート部門の回答テンプレート作成への展開(検討中)

3. 高度化の方向性:
- 社内データベースとの連携による、より精度の高い提案内容の生成
- プレゼンテーション資料の自動作成機能の追加
- 過去の成功事例の学習によるAI提案の精度向上

■ 結論・総括評価
成功度:☑ 非常に成功 □ 成功 □ 部分的に成功 □ 改善が必要 □ 不成功

総括コメント:
生成AIの導入により、提案書作成業務が大幅に効率化され、品質も向上しました。
特に時間削減効果(60%減)と提案書作成数の増加(58%増)が顕著で、ROIも非常に
高い結果となりました。同時に、AIの出力を適切に編集・活用するスキルの重要性も
明らかになりました。今後は他業務への横展開と、よりカスタマイズされたプロンプト
開発を進めることで、さらなる効果が期待できます。

効果的な評価のためのポイント

1. 評価指標の適切な選定

業務の特性に合わせた指標を選びましょう。時間短縮だけでなく、品質、満足度、エラー率など、多角的に評価することで、AIの真の価値が見えてきます。

2. 定量指標と定性指標のバランス

数値で測れる効果(定量指標)と、ユーザー体験や印象などの測りにくい効果(定性指標)の両方を評価しましょう。特に、業務の質や創造性などに関わる効果は定性的な評価が重要です。

3. ベースライン測定の重要性

AIの効果を正確に測定するためには、導入前の状態(ベースライン)をしっかりと記録しておくことが不可欠です。後から「以前はどうだったか」を正確に思い出すことは難しいため、導入前に主要指標を測定・記録しておきましょう。

4. 継続的な測定と分析

AI活用の効果は、初期の段階と継続的な利用段階で変化することがあります。定期的に測定を行い、長期的な変化を追跡することで、AIの真の価値と改善点が見えてきます。

5. フィードバックの積極的な収集

実際のユーザーからのフィードバックは、数値だけでは見えない洞察を提供します。定期的なアンケートやインタビューを通じて、生の声を集めることが改善の鍵となります。

6. 予期せぬ効果にも注目する

当初想定していなかった効果(正負両面)に注目することで、AIの価値をさらに引き出せる可能性があります。「想定外の発見」を記録し、次の施策に生かしましょう。

評価結果の活用方法

経営層への報告・予算獲得

評価結果、特にROI分析は、経営層へのAI活用の有効性を示す強力な根拠となります。追加予算や新たな取り組みの承認を得るために活用しましょう。

他部門への展開

成功事例として、他部門への説明材料に活用できます。特に、類似の業務を持つ部門には、具体的な効果を示すことで導入の機運を高められます。

プロンプトと運用方法の改善

評価結果から見えてきた課題は、プロンプトの修正や運用プロセスの改善に直接活かせます。「何がうまくいき、何が課題か」を明確にすることで、より効果的な活用が可能になります。

AI活用の高度化検討

基本的な活用で効果が確認できたら、より高度な活用方法(ワークフロー統合、カスタマイズ、自動化など)の検討材料として評価結果を活用しましょう。

次のセクションでは、AI活用の効果を定量的に評価するための効果測定・ROI計算ガイドについて詳しく解説します。