部門別・役割別の活用プラン
製造業の各部門・役割に合わせた具体的な活用プランを紹介します。それぞれの特性や課題に合わせたアプローチが重要です。
4.2.1 製造現場スタッフの活用プラン
製造現場の作業者やチームリーダーが日々の業務でAIを活用する方法です。
【主な活用シーン】
- 日報・週報の作成効率化
- 作業手順の明確化と改善提案
- トラブル対応時の情報整理と解決策検討
- 安全対策やKYT(危険予知トレーニング)の充実
【具体的な活用例】
【朝礼資料の効率的作成】
「昨日の生産実績と注意点、本日の作業ポイントをまとめたメモから、
朝礼で伝えるべき内容を簡潔にまとめてください。生産数、品質状況、
安全面の注意点を含め、3分で説明できる内容にしてください。」
【異常発生時の報告作成】
「製造ライン2で13:45に発生した異常について、以下のメモを基に
簡潔な報告書を作成してください。現象、影響、応急処置、原因推定、
再発防止策の項目を含め、管理職への報告用にまとめてください。」
【導入のポイント】
- 現場の忙しさを考慮し、短時間で効果が実感できる用途から
- ノートPCやタブレットなど、現場でアクセスしやすい環境の整備
- 基本的なプロンプト例を紙にして手元に置いておく
- 「こんな時はAIに聞いてみよう」という声かけの習慣化
4.2.2 技術・開発部門の活用プラン
設計者やエンジニアがAIを活用して技術開発や問題解決を効率化する方法です。
【主な活用シーン】
- 技術文書・仕様書の作成と改善
- 技術的問題の多角的分析と解決策検討
- 設計レビューのポイント整理
- 過去の設計ナレッジの活用と応用
【具体的な活用例】
【設計レビュー準備】
「添付の設計図と仕様書をもとに、設計レビューで確認すべき重要ポイントを
リストアップしてください。機能面、安全 面、製造性、コスト、
信頼性の観点から、特に注意深く確認すべき項目を抽出してください。
前回の類似製品での問題点も考慮に入れてください。」
【技術的問題の分析】
「製品Aの振動問題について、考えられる原因を体系的に分析してください。
機構設計、材料特性、製造工程、使用環境の観点から、
考えられる要因を洗い出し、それぞれの検証方法も提案してください。」
【導入のポイント】
- 専門性の高い分野での活用には、正確な情報入力が重要
- 企業固有の専門用語や製品名をプロンプトに含めるとより的確な回答が得られる
- 図面や計算の詳細はAIが苦手なため、人間が最終確認する習慣をつける
- 複雑な問題は複数のステップに分けて質問するとよい
4.2.3 品質管理部門の活用プラン
品質管理担当者がAIを活用して品質維持・向上や問題解決を効率化する方法です。
【主な活用シーン】
- 品質データの分析と報告書作成
- 不適合品の原因分析と対策立案
- 品質監査の準備と結果整理
- 品質基準・マニュアルの作成と改善
【具体的な活用例】
【品質トレンド分析】
「添付の過去3ヶ月分の検査データをもとに、製品Bの品質トレンドを
分析してください。主要品質特性の推移、不良モードの分布、
工程能力指数(Cpk)の変化に注目し、改善すべき重点項目を特定してください。
結果は品質会議用の資料として、グラフを含めてまとめてください。」
【是正措置報告書の作成】
「顧客からの苦情(製品Cの接続不良)について、調査結果メモをもとに
是正措置報告書を作成してください。
問題の説明、根本原因分析、即時対策と恒久対策、有効性確認方法、
再発防止策を含める形式でまとめてください。」
【導入のポイント】
- 品質データの分析はAIの得意分野だが、解釈は専門家の確認が必要
- 品質問題の記述は具体的かつ客観的に行うことで、より適切な分析が得られる
- 機密性の高い品質情報を扱う際は匿名化や一般化を心がける
- レポートテンプレートをあらかじめ用意しておくと効率的